「生きるをいただく」

4分の我慢!

日々

Monday, June 19, 2006

蛍の生態と保護

日時 2006/6/19(月)
場所 八王子ファーストスクエア10階
講師 昆虫学者 群馬昆虫の森園長 日本アンリ・ファーブル協会理事矢島 稔
報告 蛍は万葉の時代から「保多留」という文字で出てくるそうです。日本人は蛍の光に人魂や霊を想起したようで、熱くない光(冷光)に何か不思議さを超えた感情を持ったのだと思います。世界で2000種と言われそのうち幼虫が水生で過ごすものが15種という事です。日本には45種知られそのうち幼虫が水の中で生活するのが2種(ゲンジ、ヘイケ)で後43種は幼虫も陸生だそうです。


分類  種      餌     幼虫の環境
水  ゲンジ    カワニナ    渓流
  ヘイケ    モノアラガイ  田んぼ
陸  42種     貝(カタツムリ)
  (ヒメボタル)キセルガイ

ゲンジボタルに関して
 成虫の寿命 10日
 産卵    交尾8時間
       二日目から500~600個産卵
       直径 0.5mm
       日がささないコケに生み、羽化後そのまま水流に落ちる場所に産卵
 脱皮は5~6回 幼虫は成虫になるまで25匹のカワニナを食べる。カワニナの成長には一年半要し、また其の生存率は低く5%程度である。天敵はゲンジボタルは勿論のことヒル、ザリガニ、サワガニ、コイ、ドブネズミ、ヘビトンボの幼虫(孫太郎)等。カワニナはミネラル分が十分な水で育つ珪藻類を食べて大きいもので3cmくらいに育つ。九州方面では大きくなったカワニナを人も食するそうです。

 陸上へは桜吹雪の夕8時以降、川から陸へ水気のある土手を上り、自分の唾液で土繭(どか)をつくり40日間蛹への準備をする。 土繭は臭く、アリや、捕食者から身を守っているように思える。

 日本には昔から蛍の売買を商売にしていた事もあるそうです。例えば滋賀の守山蛍など。いまほたるを守る運動がブームのようだが、生物の全体系を知れば、先ずは不可能で意味の少ない活動と思える。知る教材としての有効性は勿論賛成だが、今現存する生態系を守る事の方が大切。観光地として、無数の車がおしかけ、光で照らし出されれば、蛍はひとたまりもない。都心や料亭で蛍を売り物にしているところもあるが、全く頂けない。

感想 概ね上記のような話で、今の蛍ブームに危惧をいだかれているようでした。私としては、蛍のような人口飼育の難しさに関わらず、全ての生き物は人知の及ばない関係の上で成り立っており、生態系が壊れた時の生き物の関係は知れば知るほど微妙であり、修復しがたいものと思います。生物の頂点で君臣する人間が技術の乱用で、種の絶滅を促進させている事に警笛を鳴らす必要を十分感じる。数百年の単位では単に人が生きる支障には顕著に現れないもどかしさがするし、またそのように断言する根拠も持ち合せない事に無力感を感じる。人は生きる。活動に金を要する。エネルギーを使う。競争する。人口爆発! 大量エネルギー消費! もっともっと身近には車が空中を飛ぶ昆虫をその名のとおり虫けらのように殺し、アスファルトでずたずたに分断された陸の孤島は、急速に種の保存を弱め、生き物にとって母なる大地が全く生命を受け付けない道路(アスファルト)や建物で覆い尽くされる現状を見れば、修復や回復の余地に希望が持てない。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home