「生きるをいただく」

4分の我慢!

日々

Wednesday, July 12, 2006

葉隠

投稿日 2006/7/13(木)

 この数年、目にする写真映りの良さそうな生き物を外出時、できるだけパチリと写真に収めています。あらためて気がつき始めたのは、昼間も良く活動する見慣れた蛾は、結構ふわふわと飛び、枝や葉っぱに翅を光にかざし止ります。一方人の気配や物音で物陰から慌てて飛び出したような蛾は多分に夜行性で、飛んで逃げた先では決まって葉の裏です。葉隠れを蛾の行動と結びつけて、日頃の自然観察に対する思いを書き記してみました。
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広辞苑では二つ語彙の説明があります。
一般的な意味と佐賀鍋島論語との二つです。

は‐がくれ【葉隠れ】木の葉の間にかくれること。はかげ。

はがくれ【葉隠】正しくは「葉隠聞書(はがくれききがき)」。元佐賀藩士山本常朝口述、田代又左衛門陳基(つらもと)筆録。藩内外の武士の言行の批評を通じて武士の道徳を説く。一一巻。一七一六年(享保一)成る。葉隠論語。鍋島論語。
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昔、TV等無かった頃、もっと昔、本も高価で文盲の人も多くいた頃、人々は自然の中から様々な楽しみを見出した事と思います。
 例えば『堤中納言物語』より『蟲愛ずる姫君』
      http://www1.plala.or.jp/yossie/words/020501.htm
     鳥獣戯画
など等。「葉隠れ」という言葉があります。夜に活動する蛾が昼間何かの拍子で飛び出した後、飛んだ先では必ず葉の裏に止まる事を観察した結果生まれでた言葉だと勝手に想像しています。

 もとより昼間活動する蛾もいますが、これは葉隠れすることなく、葉の表面にも止まります。蝶に比べて飛び方も鈍重な感じで、鳥たちにすぐ食べられそうに思いますが、毒を持っていたり、美味しくなかったりするんだと思います。いっぽう、毒をもたなかった蛾は夜に活動し、昼間は葉隠れで難を逃れたと思います。

 6000種いると言われる日本の蛾ですが蝶は日本で245種とも言われています。蛾も蝶もはっきりした区別は無いそうです。 素人的には、蝶と蛾の区別は昼間活動するとか、触覚が違うとかで判断できるのではと思っています。いずれにしろ蝶は蛾の仲間の一部であり、それは進化の過程で行動のすばしっこいものが昼間活動し、生活圏を広げ蝶としてのニッチ(【生物】生態的地位)を獲得したと思われます。モンシロチョウのように酩酊したような飛び方、コミスジの直線的な飛び方だが階段を行くように垂直移動する飛び方、セセリのようにけたたましく素早く機敏に飛び回るなどそれぞれ飛び方を工夫したり、植物から毒(アルカロイド)を吸収蓄積し、それを体内に宿し、敵(鳥等)から身を守っていると想像される緩慢な動作の飛び方など昼活動する昆虫は様々に外敵との防御工夫がみられます。

 セセリ蝶は、蛾に一番近い蝶だと思わる姿です。そのセセリの生きる術はその敏捷な飛翔力と身体とは不釣合いな大きな眼です。このようなセセリ蝶ですがその中にこれが一番初めに蛾から分化したと思われる緩やかな飛び方をするのがギンイチモンジセセリです。飛び方は太古の時代を髣髴とさせるなんとも言えぬロマンを感じさせてくれます。この蝶がいる限り、この地も捨てた物ではないと妙に納得させる古い世紀を漂わせます。

 昼間活動する蝶は言わば毎日TVに出演しているタレントのようなものです。言わばオープンソースで個々の属性が調べ尽くされています。自然を観察する切り口として、まことに都合の良い生き物です。昼間活動するように進化した我々人間は、同じく昼間活動する蝶の生態から、その背後にいる見え難い蛾の仲間にも想像を巡らし生き物への造詣を深め、土壌動物による環境指標と同じく、昆虫による環境指標として蝶を代表に、日々の暮らしに季節を感じ、環境変化を感じ取りたいと思っています。

 自然は偉大で、膨大で、無限で多様そのものです。切り口を持って環境を論ずる程、自然の仕組みは単純で無い事は百も承知で、自分が慣れ親しんだ昔からの生き物を観察しながら、少しでも古人が築いた楽しみや文化を失わないように蝶フォト百選を切り口に持続可能な多様性のある共生の世界を夢見ていきたいと思います。


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葉隠 はがくれ江戸中期の教訓書、武士の修養書。正しくは『葉隠聞書(はがくれききがき)』、別名『鍋島(なべしま)論語』。書中の「武士道(ぶしどう)と云(いう)は、死ぬ事と見付(みつけ)たり」という一句はとくに有名。肥前(佐賀)鍋島氏の家臣山本神(じん)右衛(え)門常朝(もんつねとも)(1659―1719)が武士の生きざまについて語った談話をベースに、門人の田代陳基(たしろのぶもと)が歴代藩主や戦国武士たちの言行録や聞き書きから採録したものを加えて整理し、前後7年をかけて書冊にまとめたもの。常朝は、藩主光茂の御側(おそば)小姓に召され、御書物役に進んだが、1700年(元禄13)光茂の死にあい、追腹(おいばら)にかわるものとして出家した。しかし、元禄(げんろく)以降の鍋島武士の御国(おくに)ぶりが急速に失われていく現状をみて深く慨嘆し、1710年(宝永7)ついにこの物語を始めたという。儒教的
な士道論からみれば、極端というべき尚武思想に貫かれているので、藩中でも禁書・奇書の取り扱いを受け、公開を禁じられた。明治中期以降、再認識され、広く一般にも読まれるようになった。〈渡辺一郎〉

Thursday, July 06, 2006

多摩川エコミュージアム交流フォーラム

日時 2006/6/28(水)
場所 東京学芸大学 環境教育実践施設 多目的教室
演題 13:00 挨拶/プロジェクト紹介
(“多摩川バイオリージョンにおけるエコミュージアムの展開”について)
   13:20 講演:「エコミュージアムによる持続可能な地域社会づくり」
講師:嵯峨 創平さん(NPO「環境文化のための対話研究所」代表)
   14:00 流域のエコミュージアム活動報告(各30分)
   1)「多摩川源流のむらづくり」
【報告】青柳 諭 さん(山梨県小菅村 源流振興課長)
   2)「多摩ニュータウン・オアシスの新たな公園管理スタイル」
【報告】内野 秀重さん(八王子市 長池公園自然館)
   3)「みどりのカラーマップと田んぼの時間」
【報告】平井 正風さん・早崎 眞佐子さん(小金井市環境市民会議)
4)「環境学習と流域ネットワーク」
【報告】 鈴木 眞智子さん(NPO法人 多摩川エコミュージアム 事務局長)
感想 前回のフォーラムがいたって面白かったという連れ合いが今回も一緒に参加してくれました。私程にはオタクではないので、今回は初めだけの参加でした。三度目の参加ですが門外漢の域を出ない私にはこの活動がどのような経緯で生まれどこへ行き着くのかには関心がもたれます。始めの挨拶にあらためてGPの紹介がありました。また当事者の紹介もありました。
■「多摩川エコモーション」について
東京学芸大学は、平成17年から「持続可能な社会づくりのための環境学習活動~
多摩川バイオリージョンにおけるエコミュージアムの展開~」をテーマに教育プ
ロジェクトを展開しています。これは文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プロ
グラムに採択されたものです。
「多摩川エコモーション」と名付けたこのプロジェクトでは、首都圏の様々な
地域で学芸大学の学生が地域の人たちと協力しながら、授業を通じて地域課題の
学習活動を行います。環境保全・持続的な社会づくり、そして地域活性化に貢献
するのがこの教育プロジェクトのねらいです。
今回の交流フォーラムはその一環として行われるものです。大学の学生・教職
員のみならず、地域の方々の参加を期待しています。

☆詳しくは… http://www.fsifee.u-gakugei.ac.jp/GP/